バレーボール観戦をより深く楽しむ上で、まず押さえておきたいのが「ポジション」の役割だ。「セッターとオポジットは何が違うの?」「なぜリベロだけユニフォームの色が違うの?」といった疑問を紐解き各ポジションの役割を理解すると、コート上で選手たちが何をしているのかが少しずつ見えてくる。
本記事では、バレーボールの基本となる5つのポジションの役割や特徴に加えて、試合中に注目したいポイントを解説する。
セッター(S):攻撃を組み立てる司令塔
セッターは、味方がレシーブしたボールをアタッカーが攻撃しやすい形にしてつなぐポジション。チームの攻撃を組み立てる「司令塔」ともいえる存在だ。
誰に、どの高さで、どのタイミングでトスを上げるのかを相手ブロックの位置や味方アタッカーの状態を見ながら、一瞬のうちに判断する必要がある。速い攻撃を多用するのか、複数のアタッカーにボールを散らすのかなど、セッターによってトスの選択には個性が表れる。また、相手の警戒が薄い場面では、トスを上げると見せかけて自ら相手コートへボールを返す「ツーアタック」を仕掛けることもある。
観戦するときは、セッターが誰にトスを上げているのかに注目してみよう。
その選択から、チームがどのような攻撃を狙っているのかが見えてくるはずだ。
アウトサイドヒッター(OH):攻守を支えるオールラウンダー
アウトサイドヒッターは、主にコートの両サイドから攻撃を仕掛けるポジション。スパイクだけでなく、サーブレシーブなど守備面でも重要な役割を担う。
前衛ではスパイクで得点を狙い、後衛ではサーブレシーブやディグで守備に参加するなど、攻守にわたってチームを支える。試合では2人のアウトサイドヒッターが配置されることが多く、相手のブロックを見ながらコースを打ち分けたり、難しいボールをなんとか相手コートへ返したりと、あらゆる場面でマルチな活躍が求められる。
観戦するときは、スパイクだけでなくレシーブにも注目してみよう。
強烈なスパイクを決める選手が、その直前まで守備でチームを支えていることも多い。攻守両面での働きを見ると、アウトサイドヒッターの役割がより分かりやすくなる。
ミドルブロッカー(MB):ネット際を制するブロックのスペシャリスト
ミドルブロッカーは、ネット中央付近を中心にプレーするポジション。最大の役割は、相手の攻撃をブロックで防ぐこと。
相手アタッカーの動きを見ながら、左右に素早く移動してブロックに跳ぶ。一方で、攻撃ではセッターと息を合わせた「クイック」と呼ばれる速い攻撃を仕掛ける。ブロックでは相手の攻撃を止め、攻撃では一瞬の速さで相手ブロックの隙を突く。守備と攻撃の両方で、ネット際を舞台にしたスピード感あふれるプレーが魅力だ。
観戦するときは、相手セッターがトスを上げる瞬間のミドルブロッカーの動きに注目してみよう。
相手の攻撃を読むためにどこへ移動し、どのように次の攻撃へ切り替えているのか。プレーを追っていくと、ミドルブロッカーの判断力とスピードが見えてくる。
オポジット(OP):攻撃の中心を担う得点源
オポジットは、セッターの対角に位置するポジション。名前の通り、ローテーション上でセッターと反対側に位置することから「オポジット(反対)」と呼ばれる。
右側からのスパイクを中心に、前衛はもちろん後衛からのバックアタックでも攻撃に参加する。チームによって役割は異なるものの、サーブレシーブよりも攻撃に重点を置き、得点源として起用されるケースも多い。特に、レシーブが乱れてセッターが十分な体勢でトスを上げられない場面では、高い攻撃力を持つオポジットが苦しいボールを打ち切ることもある。
観戦するときは、苦しい場面で誰にボールが集まっているかに注目してみよう。
試合の流れを変える一打を決めるオポジットの存在は、チームにとって大きな武器となる。
リベロ(L):守備を支えるスペシャリスト
リベロは守備を専門とするポジション。主にサーブレシーブや相手のスパイクを拾う「ディグ」を担当する。
周囲の選手とは異なる色のユニフォームを着ているためコートの中でも目立つ存在だ。リベロは通常の選手とは異なり、前衛でプレーすることや、ブロックに参加することはできず、ネット上端より高い位置にあるボールを攻撃することにも制限がある。
一方で、後衛の選手とは通常の交代とは異なる方式で何度でも入れ替わることができる。ミドルブロッカーなどが後衛に回ったタイミングでリベロがコートに入り、守備を安定させるのが一般的な起用方法だ。
観戦するときは、リベロがどれだけ多くのボールを拾っているかに注目してみよう。
一見すると「ただボールを返している」ように見えるプレーも、その一本が次の攻撃につながっており、リベロの存在感が浮かび上がってくる。
ローテーションを知れば、選手の動きがもっと見えてくる
ここまで紹介した5つのポジションは、試合中ずっと同じ場所にいるわけではない。
バレーボールでは、サーブ権を持っていないチームがラリーを制してサーブ権を得ると、選手が時計回りに1つずつ位置を変える「ローテーション」が発生する。サーブが打たれた後は、それぞれの役割に合わせてコート内を移動することができるため、ローテーション上の位置と、実際にプレーする場所が異なるケースも多い。
たとえば、ミドルブロッカーが後衛に回った際にはリベロと交代したり、セッターが後衛にいるときには、ネット際へ移動してトスを上げたりする。
「今、この選手はローテーション上どこにいるのか?」と考えながら観戦すると、選手たちの動きがより立体的に見えてくるはずだ。
5つのポジションがつくる「つながり」に注目
バレーボールは、1人の選手だけで完結するスポーツではない。
アタッカーが得点するまでには、リベロやアウトサイドヒッターがレシーブし、セッターがトスを上げ、アタッカーが打つという一連の流れがある。さらに、スパイクを打った後には、ブロックで跳ね返ったボールを拾う「カバーリング」や、レシーブが乱れた際にセッター以外の選手がトスを上げるフォローなど、選手同士が互いに支え合いながらラリーをつないでいる。
だからこそ、観戦するときは「誰が得点したか」だけでなく、その得点にいたるまでに誰がどんなプレーをしていたのかにも注目してみてほしい。
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