CHAMPIONSHIP Finalsで激突したトップ2の裏で、CHAMPIONSHIPの舞台へと辿り着いた残り4チームもまた、それぞれに大きな変革とドラマに満ちたシーズンを戦い抜いた。
主力流出の危機を組織力で跳ね返したチーム、転換期の中でタイトルを掴んだ名門、新戦力の融合に挑んだ個性派集団、そして個の力と戦術を結集させ進化を続けるスター集団。最高峰の舞台で火花を散らしたジェイテクトSTINGS愛知、ウルフドッグス名古屋、広島サンダーズ、東京グレートベアーズの激闘の足跡を辿る。
【ジェイテクトSTINGS愛知】:主力流出の逆境を跳ね返した「強固な組織力」と安定感。
大刷新のシーズン、新たな土台の構築
前シーズン準優勝の原動力となった関田誠大、宮浦健人、小川智大という日本代表のコアメンバーが一挙に退団。さらに真保綱一郎コーチがHC(=ヘッドコーチ)に昇格するなど、大きな変化の中で開幕を迎えた。しかし、新セッター河東祐大、キャプテン兼リベロの高橋和幸、そして移籍加入の藤中謙也らが、崩れない強固なチームの土台を見事に形成してみせた。
強力外国人トリオを生かすトランジションと、愛知ダービー圧倒
安定したディフェンスから、トリー・デファルコ、ステファン・ボワイエ、リカルド・ルカレッリという世界的アタッカー陣の火力を最大化するバレーが機能。特にライバル・ウルフドッグス名古屋との「愛知ダービー」では苦しみながらも4戦全勝という強さを見せつけ、レギュラーシーズンを3位という成績で通過した。
悔しさを糧に、アジアの舞台で掴んだ誇り
CHAMPIONSHIP SemiFinalsでは、前年の雪辱を期す大阪ブルテオンの前に連敗を喫し、CHAMPIONSHIP Finals進出はならず。しかし、その直後に挑んだアジアチャンピオンズリーグでは激闘の末、3位に輝き、激動のシーズンを誇り高く締めくくった。
大きな入れ替えを経てなお崩れなかったこの「強固な組織力」こそが、この一年でジェイテクトが掴み取った揺るぎない財産であり、次なる飛躍への確かな礎と言えるのではないか。

【ウルフドッグス名古屋】:日本人オポジットへの挑戦。高速コンビで掴んだ天皇杯の栄冠
伝統のスタイルを覆す、宮浦健人のオポジット起用
長年、強力な外国籍選手が担ってきたオポジット(ライト側の攻撃専門職)のポジションに、日本代表サウスポーの宮浦健人を据えるという決断を下したシーズン。序盤こそ戦術のフィットに時間を要したものの、加入2年目のベテラン司令塔・深津英臣との対話が生み出した「ライトからの高速コンビ」がチームの新たな武器となった。
圧巻の戦術破壊で、2025年末の天皇杯を制覇
この高速バレーが、これまで以上のかたちで機能したのが年末の天皇杯。相手ブロックが完成する前に叩き込む宮浦のスパイクが冴え渡り、見事な優勝を飾った。ポテンシャルの高さを証明し、水町泰杜やノルベルト・フベルら実力者も随所で存在感を発揮する。
上位陣への壁と、CHAMPIONSHIPでの悔しい幕切れ
リーグ戦では上位陣に対して白星を奪いきれない展開が響き、レギュラーシーズンは4位通過。CHAMPIONSHIP QuarterFinalsでは広島サンダーズを下してCHAMPIONSHIP SemiFinalsへ進出し、チームとして全力を出し切るもの壁を崩せず。リーグ戦の悔しさは、次シーズンへの宿題となった。

【広島サンダーズ】:高さと熱量の融合。リーグ2位の「ブロック」で魅せた伝統のプライド
超大型補強で挑んだ、ウェベル体制2年目の進化
創部90年を超える名門が、さらなる高みを目指した今シーズン。202cmのクーパー・ロビンソン、そして220cmの超大型オポジット、ダニエル・マルティネス・カンポスという若き「高さ」を補強。レギュラーシーズンを4試合残してCHAMPIONSHIP進出を決めるなど、前シーズン(6位)を上回る安定感を見せた。
リーグトップクラスの「盾」と、移籍組がもたらした熱量
今季の広島の代名詞となったのが、1セットあたりリーグ2位を記録した驚異のブロック力である。三輪大将が個人ブロック4位、移籍加入の西本圭吾が6位にランクイン。西本が持ち前の気合いと熱量でチームを鼓舞すれば、セッター永露元稀や樋口裕希が攻撃のバリエーションを広げ、攻守に隙のないバレーを展開した。
ハイレベルな戦いの中で磨かれた、確かな手応え
レギュラーシーズンは21勝21敗から最終節で大阪Bにフルセットの末に連敗したものの、名門の復活を印象づける充実のシーズンに。CHAMPIONSHIPでは初戦で名古屋に屈したものの、強固なブロックシステムは他チームの脅威であり続けた。

【東京グレートベアーズ】:スター軍団の模索。「オンザコート2」の狭間で掴んだCHAMPIONSHIPの切符
外国籍4人擁するメガクラブ化と、選手起用の葛藤
ヴォリネンHC体制3年目、さらなる躍進を狙った東京GBは、アレックス・フェレイラに加えて実績十分の外国籍選手3人を追加補強。「コート上には外国籍選手2人まで」というルールの中で、誰をどの局面で起用すべきか、効率的な最適解を模索するタフな戦いが続いた。
ブレイクスルーとなった若き司令塔の台頭
個々のポテンシャルはリーグ屈指でありながら、勝負どころでの攻撃の精度が上がりきらず、昨シーズンのような爆発的な勢いを生み出せない苦しい時期を過ごす。しかし、ここで新たなリズムをもたらしたのが、2026年に入団し起用が増えた大学4年生のセッター・近藤蘭丸。若き司令塔のハツラツとしたトスワークが、停滞していたチームを活性化させた。
2年連続のCHAMPIONSHIP進出、6位でフィニッシュ
苦しみながらも、底力でCHAMPIONSHIP進出の切符を死守。最終的には6位という結果に終わったものの、タレント揃いの新体制でリーグを戦い抜いた経験と、近藤ら若手の台頭は、来季のジャンプアップに向けた大きな収穫となった。


2026年のCHAMPIONSHIPの舞台でしのぎを削った4チームの戦いは、SVリーグ全体の底上げと、各クラブが抱える独自のストーリーを色濃く反映するものだった。
大幅なメンバーチェンジを組織力でカバーしたSTINGS愛知、日本人オポジットの可能性を切り拓き天皇杯を制したWD名古屋、圧倒的な高さとブロック力で古豪のプライドを示した広島TH、そして戦術の多様性と若手の台頭を見せた東京GB。
トップ2に届かなかった悔しさはあるものの、それぞれのチームが直面した課題と得た収穫は、リーグの競争をさらに過激にするに違いない。群雄割拠のSVリーグ、この4チームがオフシーズンを経てどのように牙を磨いてくるのか、来シーズンの覇権争いからも目が離せない。
